新たな富裕層の誕生も!2018年に破壊的な改革が起きようとしている5つの業界

写真:©Adobe Stock
起業する際にチャンスとなる業界には、次のいずれかの条件に該当することが多い。

・高度な細分化が進んでいる
・時代遅れになっている
・概して評判がよくない

時には、この3つの条件すべてに当てはまる業界もある。いまから挙げる5つの業界では、今後大きな変革が期待できる確かな兆候がある。

1. 保険業界

「Oscar(オスカー)」は2013年以降、ユーザーフレンドリーなインターフェースを用いて、理解しやすい健康保険証券を提供する。今日までに7億2700万ドルの資金を調達したと報じられている。しかし、まだ利益を出すには至っておらず、「オバマケア」の見直しのあおりを受けて、不透明な先行きに直面させられている現状だ。
「Lemonade(レモネード)」が目指すのは、主なターゲットをアメリカで不動産を賃貸する人々にした新しいビジネスモデルだ。賃貸事業者の約60%が保険に未加入で、潜在的な市場規模は6500万人に近いと考えられている。保険は当局の規制が厳しく、大きな資本も必要になるため、参入の障壁は高いが、そこにチャンスがあることは確かだろう。

アメリカの健康保険業界は米国顧客満足度指数でいつも最下位に近い位置にいて、生命保険会社や損害保険会社も顧客の気分を高揚させる能力で知られているとは言いがたい。誰もが保険を必要としているが、ワクワクしながら保険に入る人はまずいない。その理由は、分かりにくい保険証券の記述や信頼度の低さにある。ここに、新たなスタートアップがこの問題を解決しようと試みている。

2. ブライダル業界

「The Knot(ザ・ノット)」のアプリは30万もの関連業者を網羅しており、ユーザーはそれらの業者にアプリ内で簡単に連絡をすることができ、相談して予約をすることもできる。また別のスタートアップ「Joy(ジョイ)」は招待客リストの管理を支援して、まだ返事を出していない招待客に返信を促す通知を送ってくれる。

アメリカでは年間200万件の結婚式が開かれていることを考えると、他のスタートアップにも21世紀のブライダル業界を支える存在になるチャンスはある。
市場調査会社のIBISワールドによると、アメリカのブライダル業界は2017年、前年の720億ドル規模から760億ドル規模に成長した。アメリカ人がブライダルプランナーに支払う金額は5年前より減少傾向にあり、ケータリング、バーテンダー、DJ、その他の関連業者を自分で選んで、結婚式をセルププロデュースするようになっている。こうしたイベントの準備には、相当な手間と時間がかかる。そして結婚をするのは比較的若く、テクノロジーを使いこなせる層であることを考え合わせれば、この業界で新しいツールとサービスを迎える機が熟していることは明らかだ。既存のブライダル関連企業も、すでにプランニングのさまざまな側面を統合する試みを始めている。

3. 学校教育業界

「Schoology(スクーロジー)」は教師、親、生徒が相互に勉強の内容をチェックして、コミュニケーションをとるためのプラットフォームを作りあげた。
「Newsela(ニューゼラ)」は人工知能を使って、ニュース記事を各年齢に適した読解力学習の教材に変換するサービスを提供している。2012年に設立された同社のサービスは、すでにアメリカの学校の4分の3で利用されている。
「Examity(イグザミティ)」は、カンニングの防止に焦点を当てつつ、オンラインテストの実施を支援するスタートアップで、2017年に2100万ドルの資金調達ラウンドを完了。これまでに100校以上の大学と契約した。

学校ではプリントや教科書、プロジェクターがあまり使われなくなっており、スタートアップが教育者向けの新しいツールを生み出すチャンスは増えている。2017年にベンチャーキャピタルが教育テックのスタートアップに提供した資金の総額は30億ドルに迫ったという。教育プロセスの別の側面では、すでに複数のスタートアップが変革の後押しを始めている。これまでに5700万ドルの資金を確保したと報じられている。

4. 健康診断業界

「Freenome(フリーノーム)」はリキッドバイオプシーを専門とするスタートアップで、血液サンプルだけを用いて、体内に癌があるかどうかだけではなく、その場所と種類も識別できる技術に取り組んでおり、現在臨床試験の実施を目指している。日本でもすでにニュースなどで取り上げられることも多く、ご存知の方も多いだろう。
「Grail(グレイル)」は独自の癌の早期発見システムを開発するため、バイオテック大手のイルミナからスピンアウトし、2017年アマゾンやジョンソン&ジョンソンなどを含む出資者から9億ドルの資金を調達した。
「Arterys(アーテリーズ)」は、MRI画像の読影と異常の発見に機械学習を応用し、クラウドベースの診断プラットフォームとしては初めてFDA(米国食品医薬品局)の認可を得た会社になった。

医師たちは概して優れた診断をしているが、人工知能の進化により診断の精度はこれまで以上に高まるかもしれない。2017年、スタンフォード大学の研究者が開発したマシンビジョン・システムは、癌性のほくろと非癌性のものを90%以上の精度で識別し、人間の皮膚科専門医の識別精度を上回った。AIの領域で、今後何が起こるのかを示すひとつの兆しと言えるだろう。もちろん、こうした技術の進歩によって、医師たちが直ちに職を失うということはなく、あくまで臨床医を補助するものと位置づけている。

5. 法律業界

「CaseText(ケース・テクスト)」は、弁論趣意書を読ませるとほんの数秒で関連性の高い過去の訴訟事例を提示してくれるソフトウェアを開発した。2013年に設立され、2017年に1200万ドルの資金調達ラウンドを完了した。
「LawGeex(ロー・ギークス)」をはじめとする複数の会社が、契約書を精査し、欠けている情報や誤解を招きかねない文言など問題点を指摘できるプラットフォームを提供している。

弁護士への相談は高くつくが、人工知能の発達により、いずれはそうでもなくなるかもしれない。AIが複雑な言語を処理して理解する能力はますます向上しつつあり、それにつれて弁護士の仕事の効率化が進んでいるからだ。
具体的な案件について法律家の助言を求めたいとき、チャットボットに質問できる時代がまもなく訪れるとしても、驚くにはあたらないということだ。

いかがでしたか?
スタートアップ企業は、着実に資金を調達し、大きな変革が期待できる確かな兆候があるだろう。日本でも既に名の通ったサービスもあり、今後日本にも波及するだろう。TPPで国民皆保険制度の日本が、海外保険などの参入で大きな変革期を迎えるかと注目しているが、どうなるだろうか。欧米豪の風潮は時間をおいて日本にもやってくる。いち早く導入するタイミングを考えたいものだ。

参照:Inc.

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